漢方薬の副作用について
漢方薬は自然の材料を利用していることから、西洋の薬と違って、副作用も無く、安心、安全であるということが一般的に信じられています。しかし、これはかなり誤解のある考え方のようです。まず、漢方薬の副作用という言葉は、漢方の治療理論から考えると正しくないようです。漢方薬には副作用があるという人もいれば、副作用はないという人もいます。これはいったい、どういうことでしょうか。
漢方薬の好ましくない作用
言い方を換えれば、漢方薬の副作用ではなく、漢方薬の好ましくない作用が症状として現れたということが言えます。漢方薬は病的体質の診断がすべてで、それを「証」と言います。その証がきちんと診断されれば、正しい処方によって、病気は改善の方向へ向かいます。証の診断が誤って、間違った処方となると、病気は改善されず、悪化の一途をたどります。その間違った処方による間違った漢方治療のことを漢方用語で、「誤治」と呼んでいて、誤診、誤投与などという意味です。また、それによって現れた症状を、漢方の副作用という言い方を一般的にされているようですが、漢方の方法論においては副作用という概念はないそうです。つまり、漢方薬にはいろいろな薬効があり、きちんと診断されなければ、違う薬効が人体に作用して、副作用ととられるような状態になってしまうということです。
副作用と言われている一例
西洋医学的な見方をすると、漢方薬の摂取による副作用(好ましくない作用)として、下記のものがよく知られています。
・甘草による、むくみや血圧の上昇、血液中のカリウム濃度の低下による脱力感、けいれん、まひ、偽アルドステロン症
・葛根湯による低カリウム血症や肝臓障害
・小柴胡湯による間質性肺炎
・附子(ぶし…トリカブトの根)による動悸やしびれ
・麻黄による動悸や息切れ
・地黄による、胃のもたれや食欲不振などの胃腸障害
副作用と瞑眩(めんげん)
漢方薬には副作用と間違えやすいものには瞑眩(めんげん)という概念があります。これは、漢方独特の症状です。治療中に一時的に何らかの症状が悪化し、その後に回復するというような状態のことをいいます。漢方薬は、飲む人の体質や体力を十分な考慮の上に処方されるので、正しく用いていればすぐ治るので、心配することはありません。これは、証の段階で、どういった瞑眩があるのか、きちんと聞いておく必要があります。処方される際の瞑眩とは違う場合は、好ましくない作用が症状として出ている場合があるので、医師に相談することが大切です。また、漢方以外の代替療法や民間療法などでは、好転反応という言葉を使いますが、ほとんど同じ意味です。
漢方薬の処方について
また最近では、食の安全ということが世間一般で敏感になっており、中国産の漢方薬は農薬漬けの危険があるので、購入ルートにも注意が必要かもしれません。食品とは異なる漢方薬は農薬使用に規制がないそうです。日本の大手製薬会社、ツムラやカネボウ、クラシエなどといったメーカーでは、原料を厳選しているため、どちらかといえば安全と言えるでしょう。しかるべきところ、つまり、安心のおける病院やクリニックで診察、または信頼のおける漢方薬局、漢方薬専門店に相談、その上に漢方薬の処方をしてもらうことが、より自分の身を守ることにもなりますね。